複合単価

 複合単価は材料と工賃を含んだ単価であり、主に公共工事の積算で使用します。

公共工事を受注されている方はよくご存知と思われますが、複合単価について、今回は少し詳しく説明したいと思います。

機械設備の管材の場合を例にすると、次の式で表されます。
複合単価=労務費(都道府県別)+材料費(管、継手、接合材、支持金物、はつり補修など)ここで、労務費は歩掛りと呼ばれるものから算出され、工種(配管工、電工、塗装工など)、及び工事場所(屋内一般、機械室・便所、屋外配管、地中など)に応じて係数の値が異なってきます。

水道用耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管(HIVP)屋内一般配管20Aを例にして複合単価を計算します。
 
労務費=18300円(配管工・H29:兵庫)×0.062(歩掛り:HIVP20A屋内一般)=1134.6円
管単価(HIVP 20A:1m仕入単価 137円)とすると、
材料費=管単価×1.1+継手(管単価×0.3)+接合材(管単価×0.1)+支持金物(管単価×0.25)+はつり補修(労務費×0.08)+その他(労務費+はつり)×10(10~20)% となり =137×1.1+137×0.3+137×0.1+137×0.25+1134.6×0.08+123≒453.5
 複合単価=1134.6+453.5≒1590円(HIVP20 1m当たり 屋内一般 兵庫) 
 少し厄介な計算式ですが、これらの細かな係数などは予め決められた値です。

覚えておきたいのは、配管は10%の余長が考慮されています。また、継手、接着材、支持金物少しのはつりなども含んでいるという事です。なお、歩掛りは、屋内一般で0.062、機械室・便所の場合、0.074、屋外配管の場合、0.056、地中配管の場合、0.043とそれぞれ異なります。簡単に言えば、同じHIVP20でも工事する場所で単価が異なるという事です。便所の床下配管などは地中配管に比べ、当然同じ長さを配管しても継手の数なども多くなるので納得です。

 複合単価は、労務費、材料単価と計算式により金額が決定されるという事が分かります。
また管材のように比較的材料費が安い場合、労務費の占める割合が高くなる傾向に有ります。従って、労務費を正しく指定すれば多少の仕入価格の違いの影響は受けにくいという事です。

労務費は毎年、国土交通省から都道府県別設計労務単価として公表されています。
社長の猫の手は最新版の都道府県別設計労務単価を搭載済みです。
材料選択画面の全国労務単価というシートが登録データに該当します。

自社データ登録の際、主たる営業エリアで都道府県を選択することで該当する都道府県の単価が選択される仕組みです。
 予め、最新の労務費と複合単価の計算式が入力済みですので、材料単価を物価本(積算実務マニュアルなど)から最新の値を入力し直せば、より正確な積算が可能となります。
少しマニアックな内容になりましたが、ご参考にしていただければ幸いです。

2017年06月26日